ハイドロニューマティック・サスペンション車、シトロエンBX4TCとは?

日本でのベストセラー・シトロエン車、BX

漫画などで珍車扱いされる時もあるため、どこか危険な車のイメージがあるシトロエンBXですが、実際にはヨーロッパで大ヒット、日本でも歴代シトロエン車で最高の輸入台数を誇る名車です。 1982年に発表後、当時のベストセラー大衆車、フォルクスワーゲン ゴルフIIと販売台数トップを争い、シトロエン車としてもこの名車2CVに次ぐ販売台数を記録しました。 そのカクカクした特徴的なスタイルは、カウンタックやストラトスもデザインし、後にディアブロの初期デザインやチゼータV16Tもデザインした、マルチェロ・ガンディーニの作。 ストラトスやミウラのように流麗なデザインも作っていますが、カウンタックやチゼータのカクカクしたところは何かBXにも通じるところはあります。 特徴的だったのは「ハイドロニューマティック・サスペンション」という油圧サスペンションを使っていたことで、油圧のコントロールにより車高を可変させることが可能。 いわばエアサスの油圧版のようなものですが、初期にはかなり信頼性に問題があったようで、オイル漏れが多発して車高が保てなくなったり、トラブル発生時に問題無しとは言えないシステムでした。 しかし、漫画のネタとしてはともかく、実際にBXで事故が多発していれば社会的大問題になっていたはずなので、「ハズレ」さえ引かなければ、それほどひどい車では無かったのでしょう。 日本では西武自動車販売のほか、ユーノス(当時のマツダが展開していたヨーロッパ風ブランド。初代ロードスターもここでユーノス ロードスターとして販売)でも販売していました。

グループBマシン、シトロエンBX4TC登場!

2017年現在もC3WRカーで活躍するなど、2000年代からWRC(世界ラリー選手権)で活躍しているシトロエンですが、その活躍と復活を伝えるシトロエン公式ページの最初に、チラリと名前が登場したかと思うとすぐ引っ込められた車があります。 一応紹介はされたこの車、BX4TCこそが、シトロエンが作った初の本格的ラリーカーだったようです。 ベースとなったのはもちろんBXですが、当時のグループB規格に合わせて大改造! 樹脂製のブリスターフェンダーを装着し、ノーマル1,680mmと日本でもバッチリ5ナンバーサイズに収まる全幅は、何と1,89mmに拡幅。 迫力ボディのボンネットには大きなバルジ(膨らみ)が設けられ、その下にはノーマルでは横置きの1.4~1.9リッター直4ガソリンまたはディーゼルエンジンの代わりに、2.1リッターOHCターボエンジンが縦置きで搭載されています。 駆動方式は当時(1986年)最新のフルタイム4WDではなく、2WDと4WDを手動で切り替えるパートタイム4WD。 拡幅されたボディを活かしてサスペンションは路面追従性が高そうなダブルウィッシュボーンに変更されましたが、ハイドロニューマティック・サスペンションはそのまま使われ、結果的にはこれが大失敗になるのでした。

シトロエンブランド:WRC:シトロエン公式サイト

1986年、BX4TC堂々のWRCデビュー&撤退!

「グループBラリーカーってこんなんで良かったっけ?」と何となく不安を抱えつつ1986年のWRC開幕を迎えたシトロエンでしたが、その予感は開幕戦のモンテカルロで早くも的中しました。 SS1(1番目のスペシャルステージ、全開走行区間)でいきなり1台がサスペンショントラブルでリタイアすると、もう1台もSS6でクラッシュしてしまいます。 第2戦スウェディッシュラリーでも1台がトラブルで脱落しますが、この時は何とか1台が乾燥して6位入賞。 ハイドロニューマティック・サスペンションの信頼性がどうにも低いのが原因なのか、最初からの予定だったのかは不明ですが第3~第5戦は参戦せず、運命の第6戦アクロポリスラリーを迎えます。 しかし、日本では「悪路ポリス」とまで言われるほど極悪路の高速ラリーなアクロポリスは、信頼性の低いマシンにとってあまりにも酷でした。 3台ものBX4TCを投入したにも関わらず、SS1でまたもや2台がトラブルで、SS2で1台がクラッシュして全滅という散々な結果に終わり、シトロエンはこのラリー限りで撤退。 この合計3戦に出走して6位入賞1回あとは全てリタイヤ、これが戦績の全てでBX4TCがメジャーイベントを走ることは二度とありませんでした。

シトロエン自ら自主回収してスクラップ!現存台数は約30台

200台の生産が義務付けられたグループBカーには、当然ながら市販車が存在しました。 ただし、そもそも高い(BX sportの約2.5倍)上にロクな戦績も残していないため、生産した車両もかなり売れ残っていたそうで、義務付けられていた200台も実際にはそこまで生産されなかったとも言われています。 おまけに数少ない市販車にまでトラブルが多発、ラリー以前に公道を走ることも危険だとみなしたシトロエンは販売した車を買い戻し、売れ残りも含めてスクラップにしてしまいました。 その後もコアなマニアによって約30台ほどのBX4TCが残存し、そのうち2台が日本にあるとも言われていますが、少なくとも1台は数多くのマイナートラブルを克服し、元気に走っているようです。 シトロエンBX4TCは、同じグループBラリーカーでもプジョー205T16やランチア デルタS4のようなメジャー車はともかく日本ではダイハツ シャレード926ターボより知名度が低く、一応マトモに参戦した中では最大級にマイナーなラリー車になってしまいました。 現在のシトロエンの大活躍の陰には、約30年前のBX4TCという痛い教訓があったことを忘れてはいけないでしょう。

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