自動運転中の事故は誰の責任?自動運転への課題は法律、保険面でも…

ここ数年で自動車メーカーが最も力を入れている分野といっても過言ではない自動運転。国内外問わず様々な企業が力を入れていることにより、最近では他の分野と比べてもめまぐるしい速度でその技術は進化しています。実際に、現在発売されいる車ではハンズオフ走行を可能にしている車も出ています。しかし、完全な自動運転の実現に向けて、技術的にはすぐそこまできているものの、法律や保険の面ではまだまだ課題があります。少し想像してみてください。例えば、あなたが自動運転のできる車を運転しているとします。当然ハンドルは持っておらず、コンピューターに運転を任せています。そんな時、急に飛び出してきた自転車にぶつかり交通事故を起こしてしまいました。これは果たして誰の責任なのでしょうか。周りを確認していなかった運転者の責任?それとも自動運転に任せていたのだから自動運転に欠陥があったと考えて、その車を作ったメーカー側に責任がある?さらに、この自動車事故に保険はおりるのでしょうか。自動運転が完成したとしても避けられない事故というのは必ずあります。そういった事故が起こってしまった時の対処をどうすれば良いのか現在の法律や保険制度ではまだ定められていません。そこで今回は自動運転の課題をそういった法律、保険の面から見ていきたいと思います。

実際に起きた自動運転事故

日本ではまだ完全自動運転の車は走っていませんが、アメリカでは自動運転の車が走ることが可能となっている州があるため、試験的に自動運転の車が走っています。そして、そこではなんと実際に自動運転車による死亡事故が起きています。ここでは実際に起きた自動運転車による事故を例に挙げ、どの立場に責任があるのかを考えていきます。

Uberの自動運転車による死亡事故

その事故は2018年3月18日の夜アメリカのアリゾナ州で起きました。当時アリゾナ州で自動運転の試験走行を実施していたのはアメリカで有名な配車サービスを展開するUberというメーカーです。このメーカーの作った車が幹線道路を自動運転していた際、道路を自転車を押して横切ってきた女性をはねてしまいました。被害者の女性は搬送された病院で死亡が確認されています。

Uber事故の責任

この事故の責任は誰にあるのでしょうか。試験走行中であるため車両には運転者が乗っていましたが、運転者は事故が起こった時スマホで動画を見ていました。また、事故を起こした車両には緊急ブレーキ機能がついていたのですが、Uber社は自分達のシステムにも自動ブレーキ機能は付いているため元々の車両の自動ブレーキ機能を切っていました。これらの事実を全て踏まえた上でアメリカ・アリゾナ州の検察はこの事故においてUberに刑事責任はないと判断しました。一方、運転者には過失致死の疑いがかけられています。この事故においてはこのように判断されましたが、これはあくまでもこの事故においてです。アメリカも自動運転車による事故の責任の所在を確立した法律がまだないため、今回がUberに責任がなかったからといって次も同じようになるとは限りません。

責任の所在など法律の整備の必要

先ほどのような事故は今後も起こらないとは言えません。万が一このような事故が起こってしまった時のためにも自動運転の試験走行であっても責任の所在を明確にするため、早急に法律の整備を整える必要があります。では現実問題、日本とアメリカでは現在どの程度まで法整備が進んでいるのかについて紹介していきたいと思います。

日本の法整備の現状

日本の道路交通法は2019年5月28日に改正案が成立され、自動運転に向けて日本でもレベル3までの自動運転車は走行可能となり、自動運転装置がついていれば走行中のスマートフォン、テレビなどは見ることができるようになりました。しかし、肝心の事故による責任の所在については何も基準が定められず個別の判断のままとなっています。この事故の責任の所在に関しては日本のこれからの重要な課題と言えるでしょう。

海外の法整備の現状

続いて海外の法整備の現状についてドイツとアメリカという二国についてお話していきたいと思います。

ドイツ

まず、自動車大国ドイツの自動運転に関しての法律について見ていきましょう。ドイツは他の国々に比べ、いち早くレベル3相当の自動運転車に関しての法律を整備しました。日本は先ほど紹介した通り2019年5月28日にその法律が成立していますが、ドイツはその2年前の2017年6月からレベル3相当の自動運転車が走行可能という法律が施行されています。そこには日本の法律には定められていなかった事故が起こった際の責任の所在も明記されています。ドイツの法律では責任はドライバーにはなくメーカーにあるというかなり思い切った決断をしています。ここまで法律が整備されているドイツですが、安全性能や環境性能などの特定の国で車を走らせるために必要な技術要件を示す車両認証の整備が進んでいないため今現在実際に公道を走らせることはできません。

アメリカ

次に様々な企業が実験を行なっており技術が進んでいる反面、実験による死亡事故も起こっているアメリカの法整備について見ていきましょう。アメリカの法整備の大きな動きとしては2016年にアメリカの運輸省NHTSAによりレベル4の自動運転車の開発を容認する意向が発表されました。さらに2017年9月には安全性が証明されればアメリカ国内の安全基準を満たしていなくても公道試験を可能とする法律「SELF DRIVE Act」が下院で可決されました。アメリカは政府共々自動運転に関する制度を緩くすることで自動運転技術の開発を進め最先端をいこうとしましたが、これらの動きがあった直後にUberによる死亡事故が起きたため法整備は滞ってしまっているのが現状です。

まだまだ進んでいない保険の整備

今まで法律面の問題について考えてきましたが、自動運転に切り替わるにつれ変化を求められるのは法律だけではありません。自動車保険も大きな転機を迎えます。今まで通常の車による事故が起こった際の責任はドライバーによるものと考えられやすく、責任の所在がわかりやすかったため、すぐに保険を適用することができましたが、自動運転車が普及するとなるとそこはとても難しい問題になります。まだまだ保険については整備が進んでいないのが現状です。日本においてはまだ法律でも自動運転車による事故の責任の所在がはっきりと明記されていないのですから、保険会社は大きく動くことができないのは当然かもしれません。しかし、自動運転に関しての法整備が進んでいるドイツにおいても保険は現行通りという状態ですから、これから各社どのような保険商品がこの先の未来に必要か考え、大きく動かなければならない時がくるでしょう。

実現はいつ頃に?

ここまで自動運転の法律と保険の面での課題についてお話ししましたが、日本国内では政府によるといま一番近い自動運転であるレベル3の実用化は2020年度を目指しています。しかし、そこにはこの記事で述べた通り保険や事故の際の責任を明確にするなど課題は山積みです。完全な自動運転であるレベル5の実現には日本も海外も今以上のさらなる法整備が必要でしょう。さらに、レベル5に関してはインフラの整備も重要になってくるため本格的に実現するのは2030年代なるであろうとの見解です。本当の意味で運転者も誰もいらない自動運転の実現には法的にも技術的にもまだまだ遠い先の話かもしれませんね。

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