これからのルノー・日産・三菱アライアンスはどうなるのか

2018年、有価証券報告書に嘘の記載をしたとして逮捕されたカルロス・ゴーン。彼はルノー・日産・三菱アライアンスの会長でした。そんな3社にとっての重要人物が4度も逮捕された今、ルノー・日産・三菱アライアンスの関係性も揺らぎつつあります。これからこの3社はどうなるのか。カルロス・ゴーンは不正を行ったが、経営者としては間違いなくカリスマでした。3社の要である彼が去ったアライアンスには何が残るのか考えていきたいと思います。

3社の関係性、アライアンスとは?

アライアンスと言われても、いまいちよくわからないかもしれません。このアライアンスは広く言えばパートナーシップです。直訳すれば「同盟」。同盟と言えばなかなかしっくりきますね。本来ならライバルである企業同士が手を取り合い、より多くの利益を生み出そうと業務提携するもの。特に自動車産業は販路や技術など、各々が持っている資産が大きいのが特徴です。これらを共有することで企業は掛け算的にメリットを受けることができるわけです。トヨタもスバルと共同で86を開発したり、同じくBMWとも共同で新型スープラを開発しましたね。このように、自動車業界では共同で開発することでお互いの開発コストを削減するという手法が広く使われていますが、ルノー・日産・三菱アライアンスに関しては資本提携も行っていて、より強固な関係を作っています。

自動車メーカーの駆け込み寺「ルノー」の経営

ルノーには「コストカッター」と呼ばれる敏腕社長カルロス・ゴーンがいました。ここへ駆け込んだのが倒産寸前だった日産なのです。1999年にルノーは2兆円もの負債を抱えた日産の株を37%取得し、日産は資本上ルノーの子会社となりました。早速、日産の最高経営責任者となったカルロス・ゴーンは問答無用でリストラ祭りを行いました。当時はかなりの批判を受け、まるで悪魔のように言われていました。欧米的で合理的な彼の経営は当時から批判されていたのですね。

三菱も不祥事で経営難になり、日産に駆け込む

また2016年、不正発覚祭りを催していた三菱も34%の株をルノーに買収されてアライアンスに加わりました。リコール隠しを3度も行った三菱は日本国民からの信頼を失い、経営に大きな打撃を受けていました。ルノーは倒れかけの自動車メーカーに手を差し伸べる優しい会社なのかもしれません。もしかしたら弱ったところを狙って乗っ取りたかっただけなのかもしれませんが、日産と三菱はフランスに貸しを作ったと言ってもいいでしょう。

部品共通化とOEM供給

業務提携の真髄はそのシナジー効果にあります。車のプラットフォーム(骨組み)を共有したり、エンジンを共有することで、お互いに開発費を抑えることができます。トヨタの新型スープラがBMWのZ4と兄弟車になり、スープラにBMWの6気筒エンジンが乗っているというのが良い例でしょう。また、部品だけでなく、OEMも行なっています。OEMとは日産の車にルノーのブランドをつけて販売するというものであり、大体の場合はお互いにこれを行います。このOEMによって、お互いの販売力を利用できるというのが特徴で、ここに大きな相乗効果が生まれるのです。

ルノー・日産・三菱の取締役カルロス・ゴーンの逮捕

ルノー・日産・三菱アライアンスの大きなシナジー効果により、2017年にはトヨタグループやフォルクスワーゲングループなど大きな自動車メーカーグループを抑えて自動車販売台数一位になりました。ここまで成長したルノー・日産・三菱アライアンスですが、カルロス・ゴーンの逮捕によって大きな打撃を受けました。これはアライアンスのデメリットと言ってもいいでしょう。どこか1つの企業が不祥事を働いたり、経営が傾いてしまうと他のアライアンス企業にも影響してしまうということです。ましてや今回は会長が不祥事を働きました。一体何をしたのか、会長は誰になるのか紹介しましょう。

カルロス・ゴーンがこれまでにしてきたこと

カルロス・ゴーンはフランスタイヤメーカーのミシュランで18年活躍したのち、ルノーに上席副社長としてスカウトされました。「コストカッター」「コストキラー」と呼ばれるまでコスト調整をし、ルノーを黒字へ転換。日産と提携してからも、そのまま日産の最高執行責任者を兼任し、日産の経営も短期間で立て直したのです。それからは日産のCEO、ルノーのCEOに就任し、アライアンスの会長にもなりました。三菱がアライアンスに加わってからも同様に三菱に会長に就任しています。そのほかにもロシアの会社の会長やあらゆる組織の経営戦略に携わっていました。

しかし、彼は4度も逮捕されてしまいました。なぜこんなにも逮捕されるのか。それは彼が複数の罪を犯していた疑いがあるからです。余りにも多くの罪があるので一覧にして紹介しましょう。

  • 自身の役員報酬を50億円少なく有価証券報告書に記載していた疑い。金融商品取引法違反の容疑で逮捕。
  • 会社から4つの住宅提供を受けていた。もちろん有価証券報告書には記載なし。
  • 直近3年間に有価証券報告書に報酬を約40億円少なく記載した疑いで再逮捕。
  • 自身の損失を日産に肩代わりさせた疑い。特別背任の容疑で再逮捕。
  • オマーンの販売代理店に支払われていた日産の資金を不正に流用した疑い。特別背任の容疑で4度目の逮捕。

これを見て、カルロス・ゴーンはなんて酷いやつなんだと思うかもしれません。しかし、まだ罪が認められた訳ではなく、日産のクーデターなどといった陰謀があるという説があります。ゴーン容疑者も「これは策略、反逆だ」と述べ、無罪を主張し続けています。そもそも、こんなに短期間に4度も逮捕されるというのは法律に詳しくない人からも異常に見えるでしょう。長期間拘留し、保釈された直後に再逮捕。また、家宅捜索で事件に関係のないものまで押収されてしまっているといいます。これは明らかにゴーン容疑者を精神的に追い詰めていますし、何か裏があるのは間違いないかと思います。実は、西川社長も役員報酬に関する合意文書に署名していたという話もあります。今回の告発も西川社長を守るためであったという報道や、ゴーン容疑者の側近であった役員が次々に日産から退任させられるなど…。日産のクーデターという説は有力かもしれませんね。

ルノーのジャンドミニク・スナール会長を日産の会長へ

日産のクーデターではないかと言われていましたが、新たに日産の会長となったのはルノーのジャンドミニク・スナール氏、CEOはティエリー・ボロレ氏に決定しました。ここには様々な策略や対立があったと考えられます。ルノーと日産の経営統合を望むフランス政府はフランス側の人間を日産のトップに置きたいと考えていますし、日産側は当然それをよく思っていません。むしろ、ルノーに依存せずに資本関係を改善してしまいたいと考えているでしょう。日産の支配を目論むフランス側と、ルノーに対しての貸しは返し切ったとして独立したい日産。結果としてはフランス側の人間が日産のトップになりました。しかし、ジャンドミニク・スナール氏は日産の意見も汲み取り、フランス側と日産の関係をより良くしようと動いているようです。

これからのルノー・日産・三菱アライアンスはどうなるのか

ゴーン氏が去り、日産には新たな会長が据えられましたが、3社のアライアンスは今後どうなるのかというところが注目となると思います。カルロス・ゴーンの逮捕によって崩壊すると思われたアライアンスですが、ジャンドミニク・スナール氏の手によって新たな光が見えてきました。

アライアンス・オペレーティング・ボードを新設

アライアンス・オペレーティング・ボードとは、新しい会議体のことです。より早く強い連携をするための会議を定期的に行い、アライアンスをあるべき姿に戻そうというものです。アライアンスの会長は特に決定してませんが、このアライアンスボードの議長はジャンドミニク・スナール氏が務めます。しかし、これからのアライアンスはそれぞれの会社の価値を高め、お互いの文化を尊重することを約束しています。これからはより良い連携でアライアンスが加速していくと思われます。まさに雨降って地固まるですね。もしかしたら最初からこれが狙いだったのかもしれませんが。

ルノー・日産の統合は見送りへ

アライアンス・オペレーティング・ボードが新設されたことから、とりあえずは統合が見送られたと言うことができます。それぞれの文化やブランドを尊重するアライアンスの精神を取り戻すべく新設されたものですから、統合とは真逆のものですよね。ジャンドミニク・スナール氏が日産の意見を尊重し配慮していることも統合が見送られた要因かと思います。また、両者の統合協議には日本政府も介入しています。フランス政府としてはそこで日本政府と対立するよりも、優先度の高いやるべきことがたくさんあるため、見送ったとも考えられます。

ハイブリッド、電気自動車の開発に力を入れる

アライアンス・オペレーティング・ボードの方向性として挙げられるのが電気技術開発です。これからの電気自動車業界でのシェアを確立すべく、3社の技術を集結させます。こういった最新技術の開発には多額のコストがかかるため、連携して開発することで大きなシナジー効果が見込めるでしょう。日産には国産電気自動車代表のLeafがありますね。三菱も世界一PHEVと呼ばれるアウトランダーを生産しています。これらの技術が1つに集まれば、これからの電気自動車開発はさらに加速していくでしょう。一時はどうなることかと思いましたが、ルノー・日産・三菱アライアンスが電気自動車の中心になる日も近いと思います。

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