【ヒコーキと車のお話】メルセデスベンツは正式メーカー名ではない!?ダイムラーベンツの航空機用エンジン

航空機メーカーであった、”ダイムラー”ベンツの歴史をご紹介します。

ドイツの高級車「メルセデス・ベンツ」は皆さんご存知ですよね。
でも、「メルセデス・ベンツ」は実は正式なメーカー名では無いのです。

正式には「ダイムラーAG」。

2007年10月までは米国のクライスラーと合併していて、ダイムラー・クライスラーAG。
そのもっと前の1998年までは「ダイムラー・ベンツ」でした。

今回はその「ダイムラー・ベンツ」が、航空機用エンジンメーカーとしてつくった高性能エンジンをご紹介します。

1945年までは航空機用エンジンメーカーでもあった

初期のガソリンエンジンと自動車の技術者、カール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーが立ち上げた二つの会社が合併し、「ダイムラー・ベンツAG」が誕生したのは1926年の事です。
第一次大戦以前からダイムラー社もベンツ社も航空機や飛行船のエンジンを開発・生産していました。
しかし航空機用レシプロエンジンメーカーとして最高の傑作を生み出したのは「ダイムラー・ベンツ」になってからの事です。
それが1930年代に開発され、ナチスドイツの敗戦によってその歴史を終える1945年までの間にドイツ空軍を支えた「ダイムラー・ベンツDB600シリーズ」でした。

航空機用直噴エンジン「DB601」

当時のガソリンエンジンは、燃料と空気を「キャブレター」(気化器)と呼ばれる装置の中で混合し、エンジンに送り込んでいました。
しかし、戦闘機など小型軍用機用のエンジンは急上昇や急旋回を繰り返す中で、激しい重力にさらされます。そのため、キャブレターにうまく燃料が送られず、急激な機動のたびにエンストしそうになる事がたびたび起こりました。
これは名機と言われた「零戦」でも「スピットファイア」でも同じです。

この問題を改善するため、燃料のガソリンを直接シリンダーに噴射する直噴エンジン化されたのが「DB601」。

燃料を直接ポンプで噴射してしまう事で、どれだけ大きな重力がかかってもエンストがほぼ起こらないようになりました。
後にドイツの戦闘機、メッサーシュミット「Bf109E」や「Bf109F」等に搭載されて活躍し、第二次大戦初期のドイツの快進撃を支えます。

日本でも生産された「DB601」

大変優れたエンジンであった「DB601」は日本でも軍用機用エンジンとして採用され、愛知時計電機(現、愛知機械工業)と川崎航空機(現、川崎重工)で生産されました。

川崎が生産した陸軍向け「ハ40」は三式戦闘機「飛燕」用に、愛知が生産した海軍向け「アツタ」は艦上爆撃機「彗星」や、潜水空母用の特殊爆撃機「晴嵐」用に供給されます。
ただし、当時の日本では工作機械や熟練工の不足から、複雑な構造をしていた「DB601」を完全には国産化できませんでした。そのため、かなりの部分を日本式に改良しています。

その際に陸軍向け生産の川崎と海軍向け生産の愛知では別々に改良を行いましたが、川崎製「ハ40」や改良型「ハ140」では品質や生産性を克服できずに終わる散々な結果に終わりました。
イタリアの自動車メーカー「アルファ・ロメオ」でも、戦闘機マッキ「MC202」等に搭載するため生産開発が行われましたが、思うような結果は得られませんでした。

以上の事から、「DB」シリーズは高性能なものの、よほど生産技術の高い国で無い限り大量生産ができないエンジンとしても知られています。

ダイムラー・ベンツ最後の傑作エンジン「DB605」

その次に登場したのが「DB605」。排気量の増大をはじめとし、ボア(シリンダー内径)の拡張などが改良されました。大きな変化ではありませんでしたが、当時戦時中だったこともあり、傑作と呼ばれた「DB601」よりさらなる高性能を求めるストイックさがうかがえます。

第二次大戦初期に活躍したメッサーシュミット「Bf109」は、連合軍の「スピットファイア」や「P-51マスタング」などの最新鋭戦闘機を前にして、性能不足に陥っていました。
そこで改良型の「DB605」を「Bf109G」以降のメッサーシュミット製戦闘機に搭載し、挽回を図ります。
実際に各戦場で「Bf109G」は連合軍に驚異と見られますが、「Bf109」自体が1930年代半ばに開発された旧式の戦闘機だったため、戦闘機部隊の現場では、より高性能な戦闘機やジェット戦闘機の配備が望まれてしまいました。

それでも「DB605」が傑作である事は揺るぎなく、イタリアが1943年に敗戦する直前に開発した戦闘機マッキ「MC205V」などにも搭載されました。
「MC205V」は、前作「MC202」のエンジン「DB601」を「DB605」に換装したのみだったにも関わらず、飛躍的な性能向上を見せます。
米国の戦闘機「P-51ムスタング」が、エンジンを米国の「アリソンV-1710」から英国の「マーリン」に換装しただけで名戦闘機になった事例と似ており、優れたエンジンはしばしば名戦闘機を生み出すという好例として、今でもよく引用されます。

戦後のダイムラー・ベンツと航空機の関わり

その後のダイムラー・ベンツは航空機との関わりは薄く、ロールス・ロイスのようなジェットエンジンを作る事もありませんでした。

ですが、1998年にかつて戦闘機を作っていた「メッサーシュミット」「ハインケル」「フォッケウルフ」等が合併した「MBB」が設立。航空機部門「DASA(ダイムラクライスラー・エアロスペース)」として航空機との関わりが復活します。

しかしそれも束の間、「DASA」は2000年にフランスやスペインのメーカーと合併し、現在では旅客機などを開発・生産する「エアバス・グループ」になっています。

第二次大戦後はほぼ完全に高級車やトラック等商用車メーカーになりました。ブランドも「メルセデス・ベンツ」に統一され、航空機メーカーとして思い浮かべる人は少なくなったかもしれません。
ですが、F1では好成績を残すなど、「戦うベンツ」は今も健在ですね。

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