国産エンジン史軽自動車その2・最初から最後まで同じエンジンを貫いたスバル

国産エンジンの歴史をさまざまなジャンル・角度から解説していくシリーズ、軽自動車編その2は、画期的な「国民車」としてトヨタの小型車「パブリカ」と共に名を残した軽自動車「スバル360」に始まり、最後までその発展型エンジンを使ったスバルです。


息の長さが特徴のスバルエンジン

自動車市場,アメリカ,ドイツ車,BMW,アウディ,メルセデス,CARBUZZCCライセンス 表示Subaru Boxer Engine in a Scion by crudmucosa

トヨタや日産、ホンダのような大メーカーが数多くのエンジンや車種を開発する一方で、小メーカーはなかなかそのようにいきません。
その結果として、既に時代遅れとなっているクルマやエンジンを長く作りアウディ・RS3の長短を、ライバルと比較して考察します!実は、アウディ・RSは北米でほとんど販売がありません。ライバルと比較して見てみましょう。
続け、陳腐化してなお装飾など付加価値を追加して生産を続ける事になります。
それはなぜかといえば、一番大きな理由は「企業規模から、新たな生産設備やラインへの投資ができない」からです。
もっとも代表例としては、ボディの金型ひとつとってもなかなか更新できなかったいすゞが10年以上同じクルマに少しずつ手を加えながら生産していた(フローリアンやベレット)がありますが、スバルもことエンジンについては似たようなものでした。
ある意味、EA型からEJ型を経て現在のFA/FB型で水平対向エンジン搭載メーカーとして世界に冠たる存在となったのは、「それ以外作れなかった」(一時期、小型車用に直列3気筒エンジンを作ったのが数少ない例外です)からです。
そして、そこまでして水平対向エンジンメーカーとして有名になりながら軽自動車にはついに採用する事が無かったのは、軽自動車用エンジンもまた「それを作り続けるしか無かった」という事情がありました。

「スバル360」で産声を上げたEKエンジン

CCライセンス 表示1969 Subaru 360 Models by aldenjewell

スバルの軽自動車用エンジンが世に出たのは1958年、初の軽自動車にして革命的な「スバル360」用のエンジンとしてEK31型がデビューした時でした。
強制空冷2ストローク2気筒エンジンの排気量はわずか360cc。
今でいえば、コーラの350缶とほどんと変わらない排気量から16馬力を発揮したのが、その最初でした。
厳密に規格の定められた小さな軽自動車の中で最大の室内スペースを確保するため、駆動方式は床下を通るドライブシャフトなどがいらないRR(リアエンジン・リアドライブ)方式で、搭載スペースもミニマム。
その中にEK31を押し込めるように搭載して、メカニズムは最小限、キャビンは最大限というコンセプトは、その後乗用車が360からR2、レックスを経てFFへ、さらにRRのままで商用車のサンバーが発展していっても、変わりが無かったのです。
EK31は後に他社との軽自動車パワーウォーズに巻き込まれて、ソレックス・ツインキャブレターを装着して36馬力までパワーアップしたEK32に発展し、「スバル360ヤングSS」に搭載されたものの、相変わらずリアの狭苦しいところに押し込められたままでした。

水冷2ストローク、次いで4ストローク化、550cc化

CCライセンス 表示Subaru Rex by Hugo90-

「360」後継の「R-2」(初代)の途中からマイナーチェンジで水冷エンジンへ、その後継の「レックス」の途中から水冷4ストローク化されますが、エンジンは基本的にはEK31から変わらない「EK21」型でした。
他社ではそろそろダイハツのAB型など新型エンジンが登場している頃であり、マツダのように軽自動車用エンジンの自製を断念して三菱製エンジンを搭載するケースも出ていましたが、スバルはどちらの道もとらず、ひたすらEKエンジンの改良を続けました。
軽自動車が550cc時代に入ると、EKもボア・ストロークともに拡大して550cc化し、レックスのRRからFF化(フロントエンジン、フロントドライブ)にも対応し、ターボ化、スーパーチャージャー化が図られます。
最終的には1988年に登場したレックス・スーパーチャージャー用の水冷2気筒SOHCインタークーラー付スーパーチャージャーエンジン「EK23-Z」が軽自動車用エンジン最終発展型となって55馬力を発揮し、30年をかけて最初期のEK31から3倍以上の出力に達するまで成長したのでした。

EKのエンジンブロックを元に4気筒化したEN型

CCライセンス: 表示CCライセンス: 継承Subaru Vivio by Pudpuduk

30年以上の長きにわたって改良を続けられたEKに続き、そのエンジンブロックを4気筒化したEN型エンジンが1989年より再スタートを切ります。
EKを搭載していた軽自動車にそのまま搭載できる事や、生産設備にも配慮した結果として、根本的にはEKそのものの改良発展型となったEN型エンジンも、また長寿となりました。
550cc時代末期のレックスやサンバーにNAとスーパーチャージャーモデルのEN05型が搭載されると、1990年の軽自動車規格改正でそのまま660cc化されたEN07型に移行し、レックスとその後継のヴィヴィオ、そして商用のサンバーにも搭載されました。
シリンダーあたりの排気量が小さい4気筒エンジンゆえに低回転でのトルクが細く、特にSOHC2バルブ、キャブレター式のNAというベースエンジンではトルク不足が顕著という面はあったものの、低回転から過給するスーパーチャージャーとの相性が良く、下から粘る特性でラリーなどモータースポーツでも活躍するようになります。
後にEPI(電子制御燃料噴射)化やDOHC化、可変バルブタイミングの導入などで発展したEN07は、結局2012年のスバルオリジナル軽自動車の生産終了(後継車はダイハツ製OEM)まで23年、EK時代から通産すると54年の長きにわたり、スバルの軽自動車を一貫して支え続けたのでした。


スバルの軽自動車エンジンはただ古臭いエンジンを長く作り続けたというわけではなく、その時代でライバルの新型エンジンに十分対抗できる性能を持っていたのが大きな特徴でした。
50年以上もそうやって第一線で活躍できたエンジンというのは驚異的な存在であり、そのために耐久性など何かを犠牲にするどころか、「赤ヘッドの赤帽エンジン」のように伝説的とも言える耐久性を持つエンジンをも生み出しています。
次回は、そんなスバルの一方で新型エンジンの開発を続けた他メーカーエンジンの「第一次パワー競争」をご紹介します。

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