超小型車の時代・「発想の転換!布製ボディで軽量化されたミニカー・リモノ」

「超小型車」の歴史を追う第8回は、先日発表されたばかりの「rimOnO(リモノ)」です。どんなクルマでしょうか?

「乗り物」にあらずNO!リモノである「リモノ」

日本の国土交通省が街中で使う軽自動車より小さく、電動アシスト自転車やマイクロカーより少し大きい「超小型モビリティ」の実証実験を進めているのは、このシリーズでも紹介した通りです。
現状では「個人向け超小型公共交通機関」のような扱いで普及を推進している段階ですが、例えばカーシェアリングなどに対応したものであり、レンタカーなどとそう変わるものではありません。
運行できる範囲も限られるので、今までの軽自動車やマイクロカーのように自宅に置いて自由に移動できるという段階には無いのですが、そこをあえて、国土交通省の推進したい「超小型モビリティ」から一歩進めた規格を提案しているのが「rimOnO(リモノ)」です。

マイクロカーより小さくパワフルな「リモノ」は、布製ボディが特徴

リモノはかつてのマイクロカーとも、現在実証試験中の超小型モビリティとも少しずつ異なり、軽自動車やセニアカーともまた違う独特の乗り物です。
まず動力は出力5kwのモーターで、8kwを上限とする超小型モビリティよりは非力です。
しかし、骨格やボディ外板に樹脂や防水加工を施した布を積極的に使う事で軽量化し、現状は320kgとそう軽くは無いものの(一番軽い軽自動車の半分程度)、将来的には200kg以内を狙うので、日本の地方にありがちな急斜面のある山がちの地形でも十分な登坂能力があるものとされています。

全長2.2m、全幅1mとマイクロカー(ミニカー)の規格である全長2.5m、全幅1.3mより一回り小さく、乗車定員は前後席に大人各1名、または前席に大人1名と、後席に子供2名。
前後に子供を乗せられるお迎え用のママチャリの、4輪EV版のような感じでしょうか。
運転は普通のクルマのような丸ハンドルではなく、二輪車のようなバーハンドルなので、ますますママチャリやスクーター感が強くなりますが、この方式ではハンドルを目一杯切っても小回りがそう効きません。
あるいは小回りをあえてあまり効かせない事で、横転などの事故防止や、部品の軽量化を図っているとも言えますが、クルマのような感覚での運転は無理でしょう。
バッテリーは取っ手のついた簡単に交換できるセル式で、航続距離は50kmですからそれなりの田舎でもコミューターとしては十分。

最高速度45km/hは街中も含めた幹線道路には全く向いておらず、マイクロカーや超小型モビリティよりも遅いですが、路地裏など細い道など走るところを選べば十分と言えます。
特徴はやはりボディ外板が「布」である事で、防水加工の施された布製ボディはいかにも軽そうなだけでなく、「着せ替え」も容易です。
近年ではダイハツ コペンのように「容易に着せ替え可能」を謳ったクルマもありますが、実際問題として「着せ替えた後の元の外板」の置き場所に相当困る事になるので、リモノの布製ボディはその点問題無いと言えるでしょう。

家電のように「ファブレス方式」で作られる事を前提とした「リモノ」

リモノの特徴は布製ボディだけでなく、家電のように「ファブレス方式」での生産を前提としている事です。
設計とデザインのみ株式会社rimOnO(リモノ)で行い、各部の製造は開発に協力している企業が行い、最終的な組立は実際に使用される地域の企業が担当するという「地産地消」に近いような方式を想定しているようで、製造・販売・保守は全くの外注となります。
かつてマイクロカーを様々な零細メーカーを作っていた時代に問題となった品質の維持をどうするかという問題は当然あるでしょうし、製造物責任も生じる事から提携先の企業も選ぶので、どこまで「地元ものづくり企業への委託」ができるかという問題はありますが、面白い試みなのは間違いありません。

想定はマイクロカーでも超小型モビリティでも無く、欧州L6e規格

この「リモノ」ですが、想定としてはマイクロカーや超小型モビリティの規格ではなく、欧州版マイクロカーとしてこのシリーズでも以前紹介した「クアドリシクル」のEV版と同じ「L6e規格」の導入を前提とした乗り物です。
運転席のバーハンドルに象徴されるように(といっても欧州L6e規格のクワドリシクルは丸ハンドルですが)、「小さいクルマ」というより「大きな4輪原付バイク」として作られており、最高速度もマイクロカーや超小型車の60km/h制限ではなく45km/h制限です。
それだけ遅いから動力性能も簡素で良いし、遅い分衝突安全なども緩和され軽量化できて安く作れる、という前提に立っているので、量産化されれば40万円代という現実的な価格での販売を目指しています。
何より欧州のように14歳以上であれば原付免許で運転できるので普通自動車免許が不要な規格、というL6e規格のメリットをそのまま日本に持ち込む事が大前提となっており、地方では手軽な通学手段になる事も想定されるかもしれません。
もっとも、日本では原付自転車免許も16歳以上なので、大昔の軽自動車用免許(16歳以上なら軽自動車を運転できた)の復活という事になります。
「結局、普通自動車免許を前提として、幹線道路も走れる最高速度60km/hを実現してしまうと、高価で普及しないだろう。」
というコンセプトに見えるので、クルマそのものというより「超小型モビリティの目指すシティコミューター普及のためにはこの程度に収まるクルマが必要で、ならば欧州L6e規格を採用してはどうか」という提案と考えてもいいかもしれません。

かつてのマイクロカーの課題を乗り越えられるか?

このシリーズでも以前紹介したように、1980年代にマイクロカーが一時的にブームになった時は、最高速度30km/hの50ccマイクロカーが幹線道路にまで進出し、小さくてわかりにくい上に他の車より遅いので危ない、という社会問題にまでなりました。
それが結果的に原付免許でクルマに乗る事を規制し、普通自動車免許を要する事に繋がった事を考えれば、走行性能を抑えて原付免許で乗る事を前提とした「リモノ」は先祖帰りしてマイクロカーの問題を再燃させる事になります。
例えば最高速度が40km/hを超える道路への超小型モビリティの乗り入れを禁止する、などの法規制を新たに加える事にもなりましょうが、そうでもしないと結局は「高速道路以外ならどこでも走れるけども、価格が高いので誰も買わない」という超小型モビリティを生み出してしまう事を考えれば、リモノは意外と現実的な選択なのかもしれません。
裏道を通って近所のスーパーに買い物にいくだけの用途で、高速道路も走れるような軽自動車や、それに匹敵する価格の超小型モビリティが必要かと考えれば疑問なのですから。
そういう意味では、「リモノ」はシティコミューターとは何か?という本質的な問いかけをしてくれるクルマと言えるでしょう。
実際に筆者も、食料や日用品の買出しならこの「リモノ」で十分実用性があるし、本当に40万で売るなら欲しいと思います。


「超小型モビリティ」そのものの意味を問いかけた「リモノ」の今後の展開が気になるところですが、次回はシティコミューターとしてのまた新しい提案、「ゴルフカートを使ったシティコミューター」をご紹介します。

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